日本に生息するシロアリの主な種類
シロアリは種類によって生態・行動特性が大きく異なります。 どの種が問題になりうるかを把握することが、 適切な対策を選択するための前提になります。
- 土中に巣を作り、地中から木材に侵入する
- 基礎・床下周辺から上部へ向かって食害する
- 水分を好む傾向があり、湿った木材を選ぶことが多い
- 床下への適切な処理で一定程度対応できる
- 土中に巣を作らず、木材そのものが巣になる
- 乾いた木材を好み、壁内・小屋裏など上部に生息する
- 床下を経由せずに木材に到達することがある
- 被害に気づくまでに長い時間がかかることがある
アメリカカンザイシロアリは主に温暖な沿岸部での確認が多く、 国内では特定地域への偏りがあります。 ただし輸入木材・木製家具などを介した 新たな侵入・定着の可能性もあるため、 地域を問わず対策の考え方として知っておくことが有用です。
床下を経由しない。
それが、この種の構造的な難しさです。
アメリカカンザイシロアリは、在来種とは根本的に異なる行動をとります。 床下ではなく、壁内・小屋裏・家具などの乾いた木材を 直接の生活域とするため、従来の防蟻処理の考え方では 対応しきれないケースがあります。
※ 上図は侵入経路の概念を示すものです。実際の侵入経路は建物の構造・環境によって異なります。
アメリカカンザイシロアリの主な特性
在来種は土中に巣を作り、土壌から水分を得ながら生活しますが、 アメリカカンザイシロアリは木材そのものを巣とします。 床下の土壌に依存しないため、 床下からの侵入経路を断つだけでは対応できません。
湿った木材を好む在来種とは異なり、 乾燥した状態の木材(壁内の柱・間柱・野地板・小屋組みなど)を 生活域とします。 壁内など、居住者からは見えない場所で被害が進むことがあります。
床下調査では発見できない場合があり、 壁の内部や小屋裏など目視確認が難しい場所で進行します。 糞粒(ケシの種に似た粒状の糞)が室内で見つかることが 発見のきっかけになることもありますが、 気づくまでに時間がかかる傾向があります。
アメリカカンザイシロアリへの対応が難しいのは、 単に「強力な種だから」ではありません。 床下を起点としない行動特性のため、 「床下への処理→侵入を遮断する」という在来種向けの発想が そのまま当てはまらない、という構造的な理由があります。 これは処理の対象範囲・考え方を 見直す必要があることを意味します。
被害は、見えないところで進行しています。
食害された構造材や蟻道(ぎどう)など、実際のシロアリ被害の写真を掲載しています。 被害の実態を確認したい方は、下のボタンから表示してください。
⚠ 閲覧注意 シロアリ被害のリアルな写真が含まれます。苦手な方は、このまま読み飛ばしてください。
撤去前
撤去後
なぜ床下中心の防蟻では
対応が難しいのか
現在、木造住宅の防蟻処理には揮発性の薬剤による 床下中心の処理が広く行われています。 この方法は在来種のシロアリに対しては有効なアプローチですが、 構造的に対応が難しいケースがあります。
効果が短期間で低下する
揮発性の薬剤は時間経過とともに効果が低下します。 保証期間内であっても木材劣化が発生するケースがあり、 調査データにもその実態が示されています。 定期的な再処理が必要ですが、壁内などへの再処理はできません。
床下中心の処理範囲
一般的な防蟻処理(揮発性の薬剤)は、新築時でも 基礎天端より高さ1m以内の部材が処理対象となることが一般的です。 壁内上部・小屋組みなど、アメリカカンザイシロアリが 生息しうる部位への対応は設計上含まれていません。
竣工後の再処理範囲の制限
竣工後に揮発性の薬剤を再処理できるのは、 床下の一部に限られます。 仕上げ材に覆われた壁内・小屋裏への再施工は 現実的に困難です。
保証期間内でも木材劣化は起きる
保証があっても、被害を完全に防ぐことは保証しません。 調査データは、一般的な防蟻処理(揮発性の薬剤)の保証期間内でも 木材劣化が発生していることを示しています。
気密性の高い現代住宅での課題
近年の木造住宅は高断熱・高気密化が進んでいます。 気密性の高い住宅では室内空気の入れ替わりが少なく、 揮発性の薬剤の成分が室内空気に滞留しやすい環境になるとも指摘されています。 このため、揮発性の薬剤を 使用することが難しくなります。 揮発しないホウ酸を用いるボロンdeガード工法は、 こうした住宅環境にも適した工法として位置づけられています。
調査対象1,250棟のうち126棟で、保証期間内にもかかわらず シロアリ等による木材劣化が確認されています。 保証があっても、シロアリ等による木材劣化は起きます。
※ 出典:国土交通省補助事業 シロアリ被害実態調査報告書
処理範囲の思想を、
床下から構造全体へ。
ボロンdeガード工法では、処理範囲を 標準処理・1階全部処理・全構造材処理から選ぶことができます。 床下を中心とする標準処理でも在来種には有効ですが、 床下を経由しないアメリカカンザイシロアリまで見据えるなら、 家全体をカバーする全構造材処理が必要になります。 私たちが全構造材処理を推奨しているのは、そのためです。
壁内・小屋裏・断熱材周辺など、竣工後には届かない場所への処理は 新築時にしかできません。 ボロンdeガード工法は、この機会を最大限に活かすことを基本とします。
一般的な防蟻処理(揮発性の薬剤)が基礎天端より高さ1m以内を対象とするのに対し、 ボロンdeガード工法は、標準処理・1階全部処理・ 家全体をカバーする全構造材処理から選べます。 そのなかで私たちが推奨しているのは全構造材処理です。 アメリカカンザイシロアリは今はまだ身近でないとしても、 分布の拡大により将来的に問題となる可能性は高く、 壁内・小屋裏まで処理できる新築時に備えておく意味は大きいと考えています。
ホウ酸は揮発性の薬剤のように揮発・分解して消えていく性質ではないため、 新築時に適切に施工すれば原則として再処理が不要です。 壁内など竣工後に届かない部位も、新築時の施工で長期間カバーできます。
処理範囲を広げるだけでは不十分です。 施工濃度・処理量・処理部位の管理なしでは、 材料の性能を引き出せません。 施工会員による施工マニュアル準拠の施工が前提です。
アメリカカンザイシロアリへの対応可否は、 地域・建物の構造・状況によって異なります。 詳細は施工会員にご相談ください。 すべてのケースに完全対応を保証するものではありません。
壁内・小屋裏への施工方法:
ホウ酸ダスティング処理
液体のホウ酸処理が難しい場所には、 粉末状のホウ酸を隙間や空洞部に充填する 「ホウ酸ダスティング処理」が用いられます。 壁内・小屋裏など、刷毛や噴霧では届かない部位への 処理手段として位置づけられています。
粉末状のホウ酸を空洞・隙間に充填する処理方法
壁体内・小屋裏・断熱材周辺など、液体処理では届きにくい空洞部に ホウ酸の粉末を充填します。 施工後はその場所にとどまり続け、空洞を通じて侵入・移動しようとする シロアリに触れることで効果を発揮します。 羽アリが新たに侵入する際や、木材内でコロニーが形成された後に 群飛が発生した際も、必ずホウ酸の粉に触れることになるため、 継続的な防除効果が期待できます。
ボロンdeガード工法において優先されるのは、
木材にホウ酸溶液をしみ込ませる液体処理です。
構造材そのものに処理することで、木材を直接保護します。
ホウ酸ダスティング処理は、液体処理が届きにくい空洞部を補完する処理として位置づけられています。
両者を組み合わせることで、より広い範囲をカバーできます。
ホウ酸ダスティング処理単独でも機能しますが、
木材へのホウ酸処理との併用が基本的な施工の考え方です。
ホウ酸ダスティング処理の主な対象部位
柱と間柱の間、壁の内部空洞など液体処理では届きにくい空洞部。
垂木間・小屋組み周辺の空間。 アメリカカンザイシロアリが好む乾材部位への対応として。
断熱材に隣接する構造材の隙間。 充填後に液体処理ができなくなる部位への対応として。
金物周辺や複雑な形状の接合部。 液体が届きにくい形状への補完として。
シロアリ対策についての質問
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アメリカカンザイシロアリへの対応を含む処理内容のご相談は、 全国の施工会員が対応しています。 新築設計中の方は、工務店・設計事務所への早期のご相談をお勧めします。